こんにちは。SEタケです。
今回は、kintoneでやりたいことを実現する機能がない、プラグインも見つからない、そういう場合にどうすればいいか、という話です。
kintoneは使いやすいし基本的には問題ないのだけど、こういうことができたらもっといいのに。そういうことは、ありますよね。
kintoneの機能は、多くの方に使いやすいように単純化されています。kintone本体にない機能は、まずはプラグインを利用して実現するのがベターですが、プラグインも万能ではありません。どうしてもない機能は、自分で用意するしかありません。
そういうときに便利なのが、Microsoftが提供しているAzureなどのクラウドコンピューティングサービスです。クラウドコンピューティングサービスは、あらゆるシステムを構築する基盤を提供していて、kintoneとも連携できます。
クラウドコンピューティングサービスには様々な機能があって、全てを使いこなすには専門的な知識が必要です。でもkintoneからの利用にフォーカスして、部分的につまみ食いする分には、それほど難しくありません。
また、クラウドコンピューティングサービスは近年始まった新しいサービスですが、どんどん便利になってきていて、利用も増え続けています。今のうちに利用に慣れておけば、将来的にシステムを拡張・構築するときにも、とても役に立つはずです。
クラウドコンピューティングサービスはAzure(Microsoft)だけではなくAWS(Amazon)やGCP(Google)などほかにもありますが、この記事では近年シェアを伸ばしているAzureを中心に、kintoneからどのように活用できるかを考えてみます。
興味のある方は、公式ページも見てみてください。
- クラウド コンピューティング サービス | Microsoft Azure
- 【公式】クラウドならアマゾン ウェブ サービス (AWS) (amazon.com)
- クラウド コンピューティング サービス | Google Cloud
Azureを利用する考えられるケース
関連アプリへの複雑な更新
アプリのレコードを更新したときに、関連する複数のアプリを同時更新したいということはありませんか。
プラグインでも、単純な条件で他のアプリを更新する機能は提供されています。例えばアプリ間更新プラグインなどです。
ですが、複雑な条件は実現できない場合もあります。例えば製造販売で、製造マスタ(製品と原材料の対応を纏めたアプリ)を参考にして先入先出で原材料を引き当てる、などはどうでしょうか。このような汎用的でない機能は、プラグインでの提供は難しそうです。
kintoneにはJavaScriptの組み込み機能がありますので、JavaScriptでもできなくはありません。ですが、複雑な処理を実行するには時間がかかります。JavaScriptはブラウザ上で実行されますので、更新完了画面が表示されるまで数秒以上待たされることもありますし、処理の途中でブラウザを閉じてしまったりすると途中までしか実行されないということもありえます。
AzureであればAzureのサーバ上で処理が実行されますので、待たされることもなく、処理の完了も保証されます。さらに、AzureのLogicAppsというコードレスのサービスを使えば、画面上でコネクタをつなげて簡単にプログラムを組めますので、コードを書く必要もありません。
AI活用
Azureには、AIの機能が多数あります。画像認識、音声認識、会話ボット、データ分析、など、汎用的なAIは簡単に利用きるようになっています。もちろん、独自のAIを作成することもできます。
これらAIの機能が、kintoneからも利用できます。フィールドの値を変更したとき、レコードを更新したときなど、特定のタイミングで利用するとすれば、例えば下記のような使い方が考えられますね。
- 画像ファイルを登録したときに、画像内のテキストや画像の説明を項目にセット
- 画像から何らかのOK/NG判定
- 音声ファイルを登録したときに自動で文字起こし
- 業務やシステムのマニュアルをチャットボットで提供
- kintoneのデータを利用して予測(売上げや必要在庫など)
AIの活用手段は、どんどん簡単になってきています。いままでは難しそうだと思っていたことが、意外と簡単に実現できるかもしれません。
定期的な処理(バッチ)
定期的に決まった処理を行う機能は、kintoneにはありません。
例えば、毎日その日の売り上げを集計する、毎月決まった日に在庫を締める、など、人の手を介さずに自動的に行う処理です。
定期的に行う単純作業で時間を使っていませんか。AzureのLogicAppsを使えば自動化できるかもしれません。
Azureの価格
Azureの価格はサービスによって様々ですが、多くは従量課金にも対応しています。LogicAppsにも従量課金プランがあります。
従量課金は、使った分だけ払う、という料金体系です。ある機能を用意して、その機能を月に何回使ったか、1回につきどのくらい複雑な処理を実行するか、それによって料金が決まります。
どういうことかというと、例えばkintoneなら、アプリを作成するところまでは無料で、データを登録したり更新・参照した回数によって料金が決まるようなイメージです。使わなかった場合は、料金はかかりません。これは画期的ではありませんか?
通常、こういうサービスは、使っても使わなくても月額料金が発生するものが殆どではないでしょうか。kintone本体もプラグインも、大抵そうですね。それが、機能を組み込むところまでは無料なんです。機能を組み込んで、使ってみて、いまいちだったら利用停止すればほとんど料金は発生しません。
従量課金プランは動作が遅い場合があったりしますが、プランは後で変更もできます。よく使う機能は後でより高性能なプランに切り替えるなどすれば便利になります。
※従量課金プランを選べない機能もありますので、この点は注意が必要です。
kintoneからAzureを使うなら、LogicAppsが超便利
Azureには、LogicAppsというコードレスのサービスがあります。画面上でコネクタをつなげて簡単にプログラムを組めますので、プログラムを書く必要はありません。
LogicAppsには、kintoneとの連携するコネクタも用意されています。kintoneのレコードを更新したときやステータスを変更したときなど、指定のタイミングで実行させることができ、kintoneのデータを更新するのも簡単です。また、毎日、毎週など決まった時間に実行するバッチ処理も作れます。
さらに、TeamsなどのチャットやSNSに投稿したり、メール送信、AIの機能を組み込む、カレンダーへの予定登録なども、工夫次第でいろいろできます。慣れれば多くのプラグインの機能が代替できるかもしれませんね。
Azure以外の方法は?
Power Automate
Azureはどちらかというと開発者向けのサービスです。Microsoftが提供している、より利用者向けの使いやすいサービスとして、Power Automateというものがあります。
Microsoft Power Automate | Microsoft Power Platform
これは、AzureのLogicAppsをベースに作成されているサービスで、LogicAppsと同じようにkintoneのコネクタが利用できますし、日時での自動実行も可能ですのでバッチ処理も作成できます。
Azureほど機能は多くありませんが、追加料金でAIも利用できます。
カスタマイン
kintone向けに、JavaScriptプログラムの自動生成やバッチ処理を作成できるサービスです。
選択式でロジックを組めますし、日本語はこちらの方がわかりやすいかもしれません。kintone専用のサービスですので、操作に迷うことは少なそうです。
AIはないものの、kintoneでよく使われる操作が多数用意されていますし、外部サービスの連携もいくつかあります。入力欄の値を変更するなどしたタイミングで動作するなど、画面操作を便利にするスクリプトを組むには便利そうです。
ただ、レコードを保存したときなどのタイミングで実行する処理についても、JavaScriptを生成してブラウザ上で実行する方式のようです。複数レコードを同時更新したい場合など、JavaScriptは処理の途中でブラウザを閉じてしまったりすると途中までしか実行されないということもありえますので、その点が少し気にはなります。
注意点
Azureの設定画面は少し複雑で、従量課金プランをうまく選ばないと、高額なプランを選んでしまうことがありますので、この点は注意が必要です。うっかりすると1日で数千円以上かかってしまいます。
まとめ
Azureは、非常に強力なツールです。一部でも使えるようになると、kintoneのシステムを大幅にパワーアップできるはずです。
Azure Logic Apps を使用して、kintoneアプリからメールを自動送信する例も公開していますので、ぜひ参考にしてください。
kintoneにAzureのパワーをプラスして、より便利なシステムにできたらいいですね。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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